「歴史資料×GIS」の防災学習教材開発に取り組みました
レポート
「地域で起こりやすい災害について意識を高める学習をしたい」とご依頼いただき、市内の小学4年生へ防災学習の出前授業をいたしました。歴史資料とGIS(地理情報システム)を活用した防災学習の教材開発を試みましたので、ご紹介いたします。
本部門の川内淳史准教授によると、仙台市の評定河原(ひょうじょうがわら)地区の変遷は次のようなものです。
<評定河原地区の変遷>
・昭和初期まで、広瀬川追廻地区周辺に牧場があった
・昭和22年8月に広瀬川が氾濫し、被害があった
・現在は野球場・陸上競技場として使われている
・昭和初期まで、広瀬川追廻地区周辺に牧場があった
・昭和22年8月に広瀬川が氾濫し、被害があった
・現在は野球場・陸上競技場として使われている
このことから、身近な場所でも水害があったことや、氾濫危険区は住宅としては使用されていないこと、現在の河川氾濫対策などについて学ぶことができないかと考え、歴史資料とGISによる旧河道域を読み取る活動をいたしました。
児童に示した歴史資料【所蔵:風の時編集部 河北新報夕刊「仙台・あの日の昭和の一葉」2019/7/9掲載】
今から1世紀前、広瀬川は評定河原の追廻側で南北二手に分かれており、ふたつの清流に囲まれた砂州があった。その場所に明治30年頃拓かれたのが早川牧場。現在、評定河原がある場所。牧場の推進者は明治後期に第4代仙台市長を勤めた早川智寛氏で、評定河原牧場で早川牛乳やバターの生産が行われた。
児童に示したGIS資料【出典:国土地理院「重ねるハザードマップ」】
<現在の河川流域>
<明治から昭和初期の河川流域>オレンジ色が旧河道
地図上の方位について4年生は既に学習していたので、「南北」という語句に注目し、川が二股に分かれたところを探す様子が見られました。歴史資料と地図を比較・活用する活動は、面白いと感じてくれたようでした。答え合わせのため、市の古地図の一部を拡大して提示すると、「どこだ?どこだ?」「ここに牧場と書いてあるよ。」と、何度も資料を見比べて確かめる様子が見られました。活動を通して、この場所が「牧場⇒河川氾濫⇒野球場」と変化したことが分かりました。
学習の最後に、大雨による河川氾濫が身近な場所で起きていたこと、現在は河川改修やダムで水を調整することで水害が減り、安全な町づくりが進んでいることを伝えました。
学習の最後に、大雨による河川氾濫が身近な場所で起きていたこと、現在は河川改修やダムで水を調整することで水害が減り、安全な町づくりが進んでいることを伝えました。
歴史資料を読む「謎解き」のようなワクワク感と、GISで現在の河川流域と旧河道を比較する今回の試みに、新たな学習方法の可能性を感じました。この教材開発は、本部門の日常的なやり取りをヒントに生まれたものです。本部門は、異なる分野の研究者で構成されているため、互いの研究分野の話は、新鮮で興味深いものです。今後も研究者同士のコミュニケーションの中から、これまでにない防災教育のヒントを見つけたいと思っております。