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解 説

この論文は、フランスの歴史家フェルナン・ブローデルの「歴史的時間の三層構造」を災害研究に応用した「災害社会史の三層時間構造論」を提示するものです。災害を、地理的時間(数千年単位)・構造的時間(数十年〜数百年単位)・事件史的時間(数日〜数年単位)の相互作用として捉えます。そのうえで、レジリエンスを単なる「回復力」ではなく、歴史的文脈に規定された「歴史的再構成」の過程として再定義しています。
 
事例として、宮城県伊具地域(現在の角田市・丸森町)における17世紀から2019年東日本台風までの水害対応史を分析しました。そこから次の三つの知見を導いています。
①廃藩置県のような構造的転換期には、既存のレジリエンスが解体された後、新しい形が生まれるまでの間に「移行期の脆弱性」が生じること。
②三つの層の関係は一方向ではなく、個々の災害が制度や地形を変えていく双方向的なものであること。
③大災害のたびに繰り返される「想定外」という言説は、何を「正常」とみなすかの基準が歴史的に構築されてきたことを示していること。
 
本論文は、自然科学と人文学をつなぐ分析軸を示すとともに、現代の防災政策に対して歴史学からの批判的な視点を提供するものです。オープンアクセスで公開されていますので、ぜひご覧ください。
 
  
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